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再生可能エネルギーと系統連携

 

再生可能エネルギーの導入が進めれれているが技術課題がある。特に電力会社と系統連携する場合に逆流により生じる電圧、周波数の変動は再エネを増やす上で大きな課題である。
再エネが少ないときは系統に及ぼす影響は小さいので問題にならないが 比率が上がってくると不安定になってくる。
マイクログリッドは一つの解決手段であるが独立した地域の電力系統で地産地消的な性格で再エネを増加させるには時間がかかる。


A:発電機とインバータ

風力発電は一度直流に変換してさらに系統につなぐ時にインバータでACに変換されて系統に送電される。この時インバータは系統の電圧、周波数、位相に合わせて運転される。
また 風力発電は風が吹いている時は発電するが凪いでくると出力は下がり変動が激しい。風力発電の変動に伴い、系統発電機はその変動分を補う必要があるが系統発電機の回転数を上げたり下げたりしなければならない。系統の電圧の不安定な原因となる。

図 A1に発電機とインバータの回路を示す。これは風力発電を平準化するためにバッテリーを導入した場合であるが 負荷が変動した場合を考察すると次のようなことが起きる。


図A1:系統発電機と風力発電機

一例として負荷100Kwで50Kwづつ系統発電機とインバータが負担しているとする。この時負荷が100Kwから80Kwに変動したとする。インバータの応答は早いので負荷に応じて50Kw出力すると考えられる。すると系統発電機の負担分は
30Kwで良いことになる。
即ち系統発電機の変動は50Kwから30Kwと40%ダウンとなる。

負担変動を表1に示す。

表 1:負担変動
負荷 系統発電機 風力発電インバータ
100Kw 50Kw 50Kw
80Kw 30Kw 50Kw
20%down 40%down 同じ

図A2 はこの時の電圧を考察したものである。系統発電機の負荷が急激に下がりそれに伴い発電電圧が上昇する。
それと連動するインバータの出力電圧も上がり系統電圧はさらに不安定になる。


図A2 :従来のインバータで系統連携した場合の電圧変動



B :DC 系統連携

系統発電機と風力発電機をDC回路で接続したものを図B1に示す。
どちらの発電機も系統の電圧、周波数に同期させる必要はなく運転が出来る。

DCラインにはコンデンサー(SC)か又はフライホイールを接続して負荷に応じて電力の出し入れを行う。
風力発電を主電源と考え 系統発電機を従とする運転を想定した場合、風が吹いている時は風力で負荷を賄う。
風が停止したら系統発電機をクイック発電して負荷に電力を供給する。クイック発電は周波数調整が要らないので早い立ち上げが可能である。立ち上げ時間はコンデンサー容量による。
また 系統発電機の運転はコンデンサー電圧を観測して自動で立ち上げ、立ち下げが出来る。
インバータで系統の電圧、周波数、位相に合わせてACに変換して負荷に電力を供給する。


図B1: DC 系統接続

C: 再エネ100% を目指す

ソーラー、風力、バイオガス発電機などで再エネ100%を目指す回路の一例を図C1に示す。バイオガス発電機はクイックスタート出来るタイプ、メタンガス発電機が望ましい。


図C1:再エネ100%回路
 
ソーラー発電はAC系統に供給されるが前項Aで述べたようにソーラー発電の変動に伴い系統発電の負担変動はDC回路のコンデンサーで吸収される。



考察 :高岡一眞



シンボル
風力発電機 蓄電装置
整流器

充放電
ソーラー発電 インバータ
系統発電機 変圧器